アモーレパシフィック美術館で開催中のマーク・ブラッドフォード《Keep Walking》展。

ソウル・용산(ヨンサン)エリアにある アモーレパシフィック美術館(APMA) で、
アメリカを代表する現代美術家 マーク・ブラッドフォード(Mark Bradford) の大規模展覧会
《Keep Walking》 が開催されています。

これは、韓国で初めて本格的に紹介されるブラッドフォードの個展で、
初期作品から最新作、そして体験型インスタレーションまで
約20年の創作を一望できる貴重な展覧会 です。

アート好きはもちろん、ソウル旅行中に特別な体験を求めている方にも
強くおすすめしたい内容でした。

✦ 1. マーク・ブラッドフォードとは?

ブラッドフォードは、ロサンゼルスを拠点に活動する現代アーティストで、
都市の壁に貼られたチラシや新聞紙、カラー紙などの“都市の残骸”を素材 として
巨大な抽象作品を制作することで知られています。

都市に生きる人々の記憶、社会の歪み、見えない構造——
それらを何層にも重ね、削り、引き裂くことで、
“社会的抽象画(Social Abstraction)” とも呼ばれる独自の表現を築いてきました。

彼の作品は単なる抽象表現ではなく、
都市の歴史、社会問題、人々の記憶を“可視化”するものとして
国際的に高く評価されています。

600㎡を超える体験型インスタレーション《Float(2019)》

展覧会の入口で迎えてくれるのは、
床一面に紙片や布を手で裂いて作られた帯が敷き詰められた作品《Float》。

観客はその上を 実際に歩いて進む ことができます。

歩くたびに、足裏が軽く沈み、素材がふわっと動く。
ただ“見る”だけではなく、身体そのものが作品に関わっていく感覚。

アート作品の中に入り込むような、
とてもユニークで没入感のある体験でした。

都市の“レイヤー”を描く、迫力の大型抽象作品

ブラッドフォードの真骨頂ともいえる、
チラシやカラー紙、新聞紙を何層にも重ねて削り出した
大規模抽象作品も多数展示されています。

まるで 都市の地図 を見るような、
あるいは、人々の記憶の層を覗き込んでいるような——
見る角度によって印象が変わり、作品に吸い込まれるような迫力がありました。

都市の断片を拾い集め、重ね、削り、また重ねる。
一見すると抽象的でありながら、
その奥には 社会の痛みや歴史の記憶、人々の存在感 が確かに息づいています。

歩きながら作品と向き合ううちに、
「都市を構成しているのは建物ではなく“人”であること」
を改めて感じました。

作品を“鑑賞する”というより、
作品の中を歩きながら”経験する” という表現がしっくりきます。

マーク・ブラッドフォードの世界観を
これほど大規模に体験できる機会は、
アジアでも非常に貴重です。

“Keep Walking”——
歩き続けることで見えるものがある。

都市の記憶と向き合いながら、
自分自身の内側にもそっと触れるような展覧会でした。

ソウルを訪れる予定の方は、ぜひチェックしてみてください。

展覧会情報

■ 展覧会名 Mark Bradford《Keep Walking》
■ 会場 アモーレパシフィック美術館(APMA / 용산)
■ 会期 2025年8月1日~2026年1月25日
■ チケット 大人 16,000ウォン / 学生 13,000ウォン
■ 予約 事前予約推奨(公式サイトにて)

建築としてもとても美しい美術館なので、
カフェやショップでゆっくり過ごすのもおすすめです